とある病院薬剤師がわかりにくい日病薬病院薬学認定薬剤師を取得するまでの流れをまとめていく
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はじめに
薬剤師の資格って多いですよね?
各学会の認定、専門、e-ランニングなどうんざりするほど聞かされたり、
勉強したりしていると思います。
結局のところどの資格を取ればいいんだという。
そのため、私が実際に病院薬剤師として働いていて資格について考えた際に
取得しておいて良いなと感じたものについてまとめておけば今後薬剤師になった後輩の方に
参考になるんじゃないかなと思い記事にしました。
ふと疑問に思った際は立ち寄ってみてください。
日病薬病院薬学認定薬剤師とは
日病薬病院薬学認定薬剤師とは、一般社団法人日本病院薬剤師会が定める特定の条件を満たした薬剤師に対して認定する資格の一つです。
日病薬病院薬学認定薬剤師は、年々多様化する医療に対して高い対応力を持つ薬剤師を養成する目的で平成27年度に新設されました。
平成29年に廃止された日病薬生涯研修履修認定の代替資格ともいえる資格で、
より病院薬学に重点を置いて資格取得を目指す仕組みになっていることが特徴です。
薬ラボより引用
https://eustyle.jp/media/yakulab/skill/nitibyouyakubyouinyakugaku-ninteiyakuzaisi/#:~:text=仕事内容は?-,日病薬病院薬学認定薬剤師の資格を,などが考えられます%E3%80%82
認定試験の受験資格
新規認定対象者については以下の要件を満たす場合に認定試験を受験することが出来る。
(1)本会正社員又は特別会員(保健薬局勤務・大学教員等の薬剤師)であること
(2)本会が指定した手続きに則り、期日内に認定申請をおこなっていること
(3)本会が指定した期日内に、認定審査料を納入していること
認定更新対象者については以下の要件を満たす場合に認定試験を受験することが出来る。
(1)認定期間中継続して本会正社員又は特別会員(保健薬局勤務・大学教員等の薬剤師)であること
(2)本会が指定した手続きに則り、期日内に認定申請をおこなっていること
(3)本会が指定した期日内に、認定審査料を納入していること
認定条件(新規・更新)
日病薬病院薬学認定薬剤師の取得に関する新規の認定条件と更新の認定条件は異なってきます。
資料を提出する際に特に重要になるのでしっかりと確認していきましょう。
新規の認定条件
(1)本会正会員又は特別会員(保険薬局勤務・大学教員等の薬剤師)であること
(2)過去3年度を通算して50単位以上を取得し、かつ下記①~③のすべてを満たすこと
①日病薬病院薬学認定薬剤師制度研修カリキュラムのうち、下記の項目の単位数を取得していること
- Ⅰ-1~3の各項目の中から1項目以上履修し、合計2単位以上取得すること
- Ⅱ-1~6の各項目の中から2項目以上履修し、合計4単位以上取得すること
- Ⅲ-1~2の各項目を履修し、合計4単位以上取得すること
- Ⅳ-1~2の各項目を履修し、合計4単位以上取得すること
- Ⅴ-1~3の各項目を履修し、合計6単位以上取得すること
②薬剤師認定制度認証機構から認証を受けた他の生涯研修プロバイダーから付与された単位は有効とする。
ただし、日病薬病院薬学認定薬剤師制度研修カリキュラムに沿った内容の研修会あり、
かつ通算50単位のうち10単位以下であること
③毎年度(4月1日から翌年3月31日まで)10単位以上取得していること
(3)日病薬病院薬学認定薬剤師認定試験に合格すること
更新の認定条件
(1)本会正会員又は特別会員(保険薬局勤務・大学教員等の薬剤師)であること
(2)過去6年度を通算して100単位以上を取得し、かつ下記①~③のすべてを満たすこと
①日病薬病院薬学認定薬剤師制度研修カリキュラムのうち、下記の項目の単位数を取得していること
- Ⅰ-1~3の各項目の中から1項目以上履修し、合計4単位以上取得すること
- Ⅱ-1~6の各項目の中から2項目以上履修し、合計8単位以上取得すること
- Ⅲ-1~2の各項目を履修し、合計8単位以上取得すること
- Ⅳ-1~2の各項目を履修し、合計8単位以上取得すること
- Ⅴ-1~3の各項目を履修し、合計12単位以上取得すること
②薬剤師認定制度認証機構から認証を受けた他の生涯研修プロバイダーから付与された単位は有効とする。
ただし、日病薬病院薬学認定薬剤師制度研修カリキュラムに沿った内容の研修会あり、
かつ通算100単位のうち20単位以下であること
③毎年度(4月1日から翌年3月31日まで)10単位以上取得していること
(3)日病薬病院薬学認定薬剤師認定試験に合格すること
認定試験
認定試験が厳重になった不正行為について
日病薬病院薬学認定薬剤師制度では、認定取得を目指す皆さまの利便性を優先し、初回の試験よりWEB試験形式を採用しております。
しかしながら残念なことに、当会事務局には、認定試験中の不正行為の報告が複数寄せられております。
この度、当会として不本意ではありますが、厳正な対応を取らざるを得ない事例がございました。
再発防止に資する観点から情報共有いたします。
今回の事例は、試験後の自己採点および受験記録の確認を目的として試験問題を撮影し保存した行為についてご本人から申し出があったものです。
本制度のWEB試験では、以下の1)から7)を誓約事項として承諾いただいた上で受験いただいておりますので、
6)の違反行為に該当し、7)の措置を講ずるに至りました。
1)ご自身以外の者(他者)が解答しません。
2)問題の解答にあたり他者の助言は受けません。
3)問題の解答にあたりその内容を解説した書籍、参考書などを使用しません。
4)問題の解答にあたり他のコンピューター、携帯電話、電子辞書などの電子機器類を使用しません。
5)問題の内容を他者に漏洩したり、公開しません。
6)問題の内容をメモしたり、画面のコピーなどは行いません。
7)上記1)から6)に違反した場合は、本試験だけでなく、今回の申請に使用した研修単位が全て無効になることを承諾します。
日本病院薬剤師会資料より引用
https://www.jshp.or.jp/content/2021/0924-1.html
試験出題範囲(令和6年度)
I.医療倫理と法令を順守する I-1:薬剤師の使命と責任
●薬剤師法における薬剤師の使命と責任について理解している。
●医療倫理・終末期医療の倫理について理解している。
●インフォームドコンセントについて理解している。
●先進医療に関して近年話題となった事項について理解している。
I-2:医療制度
●薬剤師に関する診療報酬の算定要件・施設基準等について理解している。
●地域包括ケアシステムの概要について理解している。
●医薬品副作用被害救済制度の仕組みと請求について理解している。
●医療保険制度、介護保険制度について理解している。
●第8次医療計画の概要について理解している。
●患者申出療養制度について理解している。
I-3:法令順守
●医療法及び医療法施行規則の概要について理解している。
●麻薬及び向精神薬取締法の概要について理解している。
●医薬品医療機器等法の概要について理解している。
●医薬品医療機器等安全性情報報告制度の仕組みと報告方法について理解している。
●医師法、薬剤師法などにおいて作成と保管が定められている文書について理解している。
II.基本的業務の向上を図る II-1:調剤
●医薬品の処方日数制限について理解している。
●配合変化、無菌製剤処理について理解している。
●簡易懸濁法について理解している。
II-2:製剤
●院内製剤の調製及び使用に関する指針について理解している。
●添加物、基剤、製剤的特徴について理解している。
●放射性医薬品について理解している。
II-3:医薬品情報
●医薬品リスク管理計画(RMP)について理解している。
●医薬品・医療機器等安全性情報、医薬品安全対策情報について理解している。
●イエローレター、ブルーレターが発出された医薬品とその内容について理解している。
●添付文書、インタビューフォームについて理解している。
●医薬品情報の検索方法について理解している。
●後発医薬品(バイオ後続品も含む)の審査、評価、特徴について理解している。
●ドーピングの禁止薬物について理解している。
●健康食品について理解している。
II-4:医薬品管理
●医薬品管理方法について理解している。
●医薬品の適正流通(GDP)、医薬品の製造管理及び品質管理の基準(GMP)について理解している。
II-5:マネジメント
●臨床指標について理解している。
●病院経営管理に関する指標・手法について理解している。
●PDCA サイクルについて理解している。 ※PDCA:計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)
II-6:教育・研究
●人を対象とした医学系研究に関する倫理指針について理解している。
●臨床研究法について理解している。
●研究デザインと統計解析手法の特性について理解している。
●日病薬の専門・認定薬剤師制度について理解している。
●論文・雑誌投稿について理解している。
●治験について理解している。
●薬学教育モデル・コアカリキュラムについて理解している。
III.チーム医療を実践する III-1:病棟・外来業務(医療コミュニケーション)
●医政局長通知(医政発 0430 第 1 号)に基づく薬剤師業務の内容を理解している。
※医政局長通知(医政発 0430 第 1 号)「医療スタッフの協働・連携よるチーム医療の推進について」
●プロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)を理解している。
●病棟薬剤業務、薬学的管理、薬剤管理指導、服薬支援等について理解している。
●コミュニケーションスキル、患者情報の取り扱いについて理解している。
●Advance Care Planning(ACP)について理解している。
●フィジカルアセスメントについて理解している。
●重篤副作用疾患別対応マニュアルについて理解している。
III-2:連携
●かかりつけ薬剤師について理解している。
●病院横断的なチーム医療について理解している。
●地域医療連携における代表的なツールについて理解している。
●災害時の医療従事者の役割について理解している。
●予防医療の基礎について理解している。
●緩和医療の基礎について理解している。
●在宅医療における薬剤師の役割を理解している。
IV.医療安全を推進する IV-1:リスクマネジメント(医薬品安全管理)
●医療法施行規則について理解している。
●医療事故調査制度について理解している。
●医薬品安全管理責任者の責務について理解している。
●医薬品の安全使用のための業務手順書について理解している。
●医療安全に関する診療報酬の算定要件、施設基準等について理解している。
●リスクマネジメントのモデル・解析方法について理解している。
●内服薬処方箋記載方法について理解している。
●抗がん剤曝露対策について理解している。
●日病薬のプレアボイド報告制度について理解している。
●医療安全に関する対策を理解している。
IV-2:感染制御・管理
●薬剤耐性(AMR)対策アクションプランについて理解している。
●指定感染症について理解している。
●医療法施行規則について理解している。
●院内感染予防、院内感染対策について理解している。
●抗菌薬適正使用・管理について理解している。
●消毒薬適正使用について理解している。
●我が国の耐性菌に関する現状、耐性菌の特徴、治療法について理解している。
●PK/PD 理論について理解している。※PK:薬物動態学/PD:薬力学
●日和見感染症について理解している。
●抗菌薬の de-escalation について理解している。
V.ファーマシューティカルケアを実践する V-1:医薬品(製剤)特性
●医薬品の作用機序、副作用及び体内動態、相互作用等について理解している。
・糖尿病治療薬
・がん化学療法
・分子標的薬
・抗結核薬
・漢方薬
・抗凝固薬
・甲状腺疾患治療薬
・便秘治療薬
・睡眠薬
・褥瘡治療薬
・抗アレルギー薬
・医薬品全般
●TDM対象薬について理解している。
●サリドマイド製剤及びその誘導体の安全管理手順について理解している。
V-2:疾病・薬物療法 疾患の病態及び薬物療法について理解している。
●糖尿病
●循環器疾患(高血圧症、脳梗塞、心不全、不整脈、虚血性心疾患等)
●悪性腫瘍・疼痛管理
●肝炎(肝硬変、B 型肝炎、C 型肝炎等)
●呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、間質性肺炎等)
●腎臓病(腎不全、慢性腎臓病(CKD))
●認知症
●炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病等)
●骨粗しょう症
●てんかん
●関節リウマチ
●パーキンソン病
●統合失調症
●高尿酸血症
●アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、アナフィラキシー等)
●中枢性尿崩症
●鉄欠乏性貧血
●過活動膀胱
●ビタミン欠乏症
●消化性潰瘍
●片頭痛
●うつ病
●覚せい剤依存症
●播種性血管内凝固症候群(DIC)
●薬物中毒
●インフルエンザウイルス感染症
V-3:患者特性
●高齢者に対する医療について理解している。(生理機能、薬物動態、アドヒアランス、薬物療法等)
●妊婦・授乳婦に対する医療について理解している。(生理機能、禁忌、催奇形性、合併症、薬物療法等)
●小児に対する医療について理解している。(生理機能、禁忌、薬物動態、薬物療法等)
●腎機能低下者に対する医療について理解している。(腎機能評価、生理機能、薬物動態、薬物療法等)
●肝機能低下者に対する医療について理解している。(肝機能評価、生理機能、薬物動態、薬物療法等)
日本病院薬剤師会資料より引用
https://www.jshp.or.jp/content/2024/0328-3.pdf
認定申請受付期間及び認定試験日程
<令和6年度を例にして>
認定申請期間:令和6年(2024年)1月29日(月)~5月10日(金)必着
対象研修期間:令和3年(2021年)4月1日~令和6年(2024年)3月31日
※ただし、上記の期間内に1~3年間の研修中断期間がある場合は、平成30年(2018年)4月1日~令和3年(2021年)3月31日の研修単位も使用可能です。(理由書添付の上、個別審査となります)
試験実施期間:令和6年(2024年)6月14日(金)~6月16日(日)17:30
※Web試験です。上記のうち、任意の1時間で実施いただきます。
日本病院薬剤師会資料より引用
https://www.jshp.or.jp/content/2023/1227-1.html
合否基準
受験者の成績上位10%の平均点の70%とする。
感想(ぶっちゃけた話)
私は日病薬病院薬学認定薬剤師を取りましたが
取るまでの過程でポイントとなる話をしようかなと思います。
まず、日病薬病院薬学認定薬剤師という資格を知っているかどうかで
スタートが異なります。
この資格を取るには新規で3年間50単位が必要になるので
各学会、e-ランニング、勉強会等で単位シールを手に入れなければなりません。
結構これが大変で正直めんどくさい笑
現在はシールの検索システムがあるのでシールの番号が分かれば
どの勉強会で手に入れたのか後ろ向きで調べることが出来るので安心ですが
提出資料に記入したりするのでめんどくさいです笑
認定期間は6年間でその期間の最中も更新をするのなら継続的にシールを集めなければならないので大変です。
ただ、学会、勉強会等にいくつか参加していれば単位は勝手に取れています。
認定試験の合格率も90%以上なので相当なアクシデントがない限り合格することは出来ると思います。
また、日病薬病院薬学認定薬剤師の価値としては
薬剤師目線からいうと、ちゃんと勉強してるのねと思うような認定資格になるので
取っておいて損はありません。
認定料を毎回取られる悲しさはありますかね笑
さいごに
いかがだったでしょうか?
薬剤師の認定資格は多く、どれを取ればいいのかわからない方がいらっしゃるかなと思います。
特に取っておいて損はないと考えている資格について今後記事にしていきます。