とある病院薬剤師が褐色細胞腫の病態、治療薬についてわかりやすくまとめてみた

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褐色細胞腫とは

褐色細胞腫は、副腎髄質ふくじんずいしつから発生する腫瘍です。

副腎髄質は、左右の腎臓の上にある副腎の中心部分で、

血圧や心臓の働きを調節するカテコラミンと呼ばれるホルモンを分泌します。

褐色細胞腫は、このカテコラミンを過剰に分泌する特徴があります。

褐色細胞腫と同じようにカテコラミンを過剰に分泌する腫瘍として、

副腎髄質以外の場所に発生するパラガングリオーマがあります。

褐色細胞腫とパラガングリオーマは同じ性質を持つ腫瘍ですが、発生する部位によって異なる呼び方をします。

なお、褐色細胞腫とパラガングリオーマの約30~40%は、

遺伝性腫瘍(生まれ持っている遺伝子の変化が関わっている腫瘍)といわれています。

大切なキーワードの詳細

副腎

国立消化器・内視鏡クリニック より引用

https://kunitachi-clinic.com/column/「副腎疲労症候群・hpa軸の機能障害」検査や受診/

人間の体には2つの副腎があり、それぞれ左右の腎臓の上部に位置しています。

これらは内分泌腺であり、血液中にホルモンを分泌します。それぞれの副腎には以下の2つの部分があります。

  • 髄質:副腎内部は、アドレナリン(エピネフリン)などのホルモンを分泌し、血圧、心拍数、発汗など交 感神経系によっても調節される身体活動の制御に影響を与えます。
  • 皮質:副腎の外側の部分は、コルチコステロイド(コルチゾールなどのコルチゾン様ホルモン)や、ミネラルコルチコイド(特に、血圧や体内の塩分[塩化ナトリウム]とカリウムの濃度を制御するアルドステロン)などの別のホルモンを分泌します。副腎皮質はまた、少量の男性ステロイドホルモン(テストステロンとその類似ホルモン)もつくります。

MSDマニュアル より引用

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/12-ホルモンと代謝の病気/副腎の病気/副腎の概要

カテコールアミン

カテコールアミン(catecholamine)とは、副腎から合成・分泌される神経伝達物質の総称である。

副腎の異常によってカテコールアミンが過剰に分泌すると、重度の高血圧や過度の発汗、動悸、頭痛などが起こる。

また、精神的にも興奮し、パニックに襲われたような感覚に陥りやすい傾向がある。

逆に、カテコールアミンが不足すると、心身の脱力感や意欲の低下が起こり、抑うつ状態を招きやすくなる。

カテコールアミンは下記の3種類からなります。

①.アドレナリン

副腎にて分泌されるカテコールアミンのうち、約80%を占める神経伝達物質である。

ストレスを感じた時などに交感神経を活発にさせ、心拍数や血圧上昇、発汗を促し、ストレスから体を守る。

②.ノルアドレナリン

アドレナリンと同様、ストレスを感じた時に分泌される神経伝達物質で、交感神経を刺激する。

ノルアドレナリンは、末梢の血管を収縮させて血圧を上昇させる。

③.ドパミン

中枢神経系に存在し、感動や快感、意欲に関係する。パーキンソン病や統合失調症などと深く関わると考えられている。

看護roo! HPより 引用

https://www.kango-roo.com/word/9479#:~:text=カテコールアミンとは・・・,陥りやすい傾向がある%E3%80%82

パラガングリオーマ

パラガングリオーマは、胸部、腹部、膀胱ぼうこう頭頸部とうけいぶ(脳と目を除いた首から上の部位)などにある

傍神経節ぼうしんけいせつという組織から発生する腫瘍です。傍神経節腫と呼ばれることもあります。

パラガングリオーマは、交感神経系由来のものと副交感神経系由のものに分けられます。

交感神経系由来のパラガングリオーマは胸部、腹部、膀胱などから発生し、

血圧や心臓の働きを調整するカテコラミンというホルモンを過剰に分泌する特徴があります。

一方で、副交感神経系由来のパラガングリオーマは、頭頸部に発生することが多いです。

交感神経系由来のパラガングリオーマとは異なり、カテコラミンの分泌が過剰になることはありません

国立研究開発法人国立がん研究センターHP より引用

https://ganjoho.jp/public/cancer/pheochromocytoma/index.html#anchor1
masa

褐色細胞腫ってあまり入院患者でみられないけど、どんな疾患なのかな!!

褐色細胞腫について

原因

褐色細胞腫が発生する原因はまだはっきりと分かっていません。

しかし、近年では30~40%の症例で遺伝子異常を認め、原因となる遺伝子にはSDHB、SDHD、VHL、RET、NF1をはじめ

15種類以上が確認されています。

症状

褐色細胞腫がカテコラミンを過剰に分泌することによって、血圧や血糖値が高くなることがあります。

また、頭痛や動悸どうき、便秘、汗をかきやすい、疲れやすい、不安な気持ちが強くなるなど、さまざまな症状が起こることもあります。

検査・診断

褐色細胞腫はカテコールアミンを過剰に産生するため、血液検査や尿検査を行い、

血中、尿中のカテコールアミンやその代謝物であるメタネフリン、ノルメタネフリンなどを測定します。

また、腫瘍の位置や広がりを評価する目的で、副腎CT検査、副腎MRI検査、副腎髄質シンチグラム(MIBGシンチグラム)

FDG-PET検査などの画像検査が行われます。

褐色細胞腫の多くは良性ですが、11%が悪性であり、肝臓や骨、リンパ節などの副腎、

交感神経外への転移を認めた場合に悪性褐色細胞腫と診断されます。

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褐色細胞腫の治療について

褐色細胞腫の治療

褐色細胞腫に対する治療の原則は、α遮断薬を中心とした薬物療法によって血圧および体液量をコントロールしたうえで、

手術で腫瘍を摘出することです。

褐色細胞腫では無症状で経過する例もありますが、ささいな刺激をきっかけとして褐色細胞腫クリーゼをきたすことがあるため、

原則として手術を行うことがすすめられます。

薬物療法としては、術前の血圧コントロールと体液量減少の回復を目的にα遮断薬が用いられるのが一般的です。

動悸が強い場合にはβ遮断薬が併用されます。症状が重篤な場合にはチロシン水酸化酵素阻害薬である

メチロシンを用いることもあります。

手術においては開腹手術と内視鏡手術の2つの方法がありますが、

最近では体への負担がより少ない内視鏡手術が主流になってきます。

良性腫瘍の場合には手術によって根治が期待できます。

しかし、悪性の場合にはカテコールアミンの産生能を持つ腫瘍の転移病変のため、根治は望めません。

そのため、手術でできる限り腫瘍を摘出した後、抗がん剤を用いた化学療法、分子標的薬や、

放射線を出すヨウ素を内服して体内から病変に放射線を照射するアイソトープ療法などが行われます。

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褐色細胞腫クリーゼ

血圧が急激に上昇してしまうために、ただちに血圧を下げる必要がある状態を高血圧クリーゼといいます。

褐色細胞腫ではこのような急激な血圧の変動が生じやすく

特に褐色細胞腫によって引き起こされる高血圧クリーゼを褐色細胞腫クリーゼとも呼びます。

急激な血圧の上昇をきたした状態を放置しておくと、元に戻らない重篤な臓器障害が起こる可能性があり、とても危険です。

高血圧クリーゼの症状として、まずは血圧が急激に上昇します。

診断基準としては、血圧が収縮期圧で180以上、または拡張期圧で120以上を超えることが多くみられます。

もしこのような高い数値が出た場合には、念のためもう一度血圧を測定し直しましょう。

また、その際激しい頭痛・強い不安感・息切れ・鼻出血といった症状があらわれるのは危険な兆候です。

褐色細胞腫クリーゼの場合、このような症状のほかに、発汗・動悸(胸がドキドキする)・頻脈(脈がはやくなる)・

胸痛(胸が苦しい)・体重減少といった症状が出ることもあります。

これらの症状が現れたら血圧が下がるのを待つのではなく、すみやかに救急受診をするようにしてください。

このような状態を放置しておくと、肺に水が溜まったり、脳出血をおこしたり、脳がむくんできたり、

大動脈(心臓から出る太い血管)が破裂したりする危険性もあります。

高血圧クリーゼの原因が褐色細胞腫だという診断がついた場合、手術によって摘出することでほとんどの患者さんは治り、

その後高血圧クリーゼを起こすことはありません。

ただ、手術までの期間は腫瘍にあまり刺激を加えないことが大切です。

例えば腰を曲げてお腹を圧迫する・運動する・トイレで強くりきむ・

ゴリゴリと腫瘍のあるお腹を強く圧迫するといった行為はやめましょう。

また吐き気止めの塩酸メトクロプラミドを服用するとカテコールアミンが上昇するという副作用があることから注意が必要です。

Medical Note より引用

https://medicalnote.jp/contents/160201-048-DZ

α遮断薬

詳細はこちらの記事から↓(執筆中)

β遮断薬

詳細はこちらの記事から↓(執筆中)

メチロシン

詳細はこちらの記事から↓(執筆中)

分子標的薬

詳細はこちらの記事から↓(執筆中)

Medical Note より引用

https://medicalnote.jp/diseases/褐色細胞腫?utm_campaign=褐色細胞腫&utm_medium=ydd&utm_source=yahoo
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臨床現場で病院薬剤師として思うこと

褐色細胞腫は生活習慣病等と違い、比較的臨床として働いている薬剤師でも

疾患患者に出会うケースが少ないんじゃないでしょうか。

だからこそ、疾患患者に出会った際に正しい医療を提供するために

勉強、準備をすることは大切なことだと感じます。

それは全ての疾患患者に言えることなんですけどね。

日々勉強です。

さいごに

生きているうちに病気になることはあると思います。

その際にどのような対処をすれば良いのか不安に思いながら周りに相談をしたり

自身でインターネットで検索して調べる方は多いと思います。

その1つのお助けツールとしてこちらの記事を参考にして頂けたら嬉しいです。

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