とある病院薬剤師が肝機能障害についてわかりやすくまとめてみた

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肝臓とは

肝臓は、一般的に腹部の右上、肋骨の下にあります。私たちの体の中で最も大きな臓器であり、

重さは体重の約2.5%、成人で1kg以上にもなります。

食べ物の摂取から分解・消化、吸収、排出までを行う「消化器系(口から肛門まで続く器官」と呼ばれる臓器のひとつです。

私たちが摂取した食べ物の成分は、そのままでは吸収できません。

食べ物の成分は消化管を通過する中で、さまざまな消化酵素によって体内に吸収できる「栄養素」に分解され、

小腸を中心とした消化管で吸収されます。消化管で吸収された栄養素は、血液に取り込こまれ、血管を通り、肝臓に運ばれます。

肝臓には、この栄養素を運ぶ血管(門脈)と、肝臓に酸素を運ぶ血管(肝動脈)の2本が流れ込んでいます。

肝臓へ運ばれる血液の約3分の2 が「門脈」を通り、消化管から運ばれてきた栄養素を多く含みます。

残りの約3分の1は心臓から「肝動脈」を通って肝臓に運ばれます。

心臓から運ばれる血液には多くの酸素が含まれていて、代謝などで使われる肝臓中の酸素の約半分は、この血液から補われています。

残りの半分は門脈の血液からです。

そして、肝臓に流れ込んだ血液は、「肝静脈」から「下大静脈」を通って心臓に至ります。

肝臓のまわりには、血管のほかに「胆管」という管もあります。胆管は、肝臓が作る胆汁を「胆嚢」という臓器に運びます。

胆嚢で蓄えられた胆汁は、(食後1時間ほどから)分泌され、胆管から小腸に流れ込み、食べ物の消化に使われます。

ハウスダイレクト HP より引用

https://www.house-direct.jp/column/about-liver01/?srsltid=AfmBOor66b_ee53m5cmhvPiP6SU4OohUsHAoInyOnQdYzp2-dPQ4Kaxl

肝臓は右の肋骨(ろっこつ)に守られるようにして存在するヒトの体で最も大きい臓器で、体重の約50分の1を占めています。

肝臓の主な働きは3つあります。1つ目は、私たちの体に必要な蛋白の合成・栄養の貯蔵、2つ目は、有害物質の解毒・分解

それと3つ目が、食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌です。

私たちが食べたものは胃や腸で吸収されやすい形に変えられた後、肝臓へ送られます。

肝臓でいろいろな成分に加工されると、動脈を通って必要な場所に配られていきます。

例えば、食事などからとった糖質は、グリコーゲンとして肝臓に蓄えられ、夜間にエネルギー源として血中に放出されます。

利用されて不要になった老廃物は、今度は静脈を通って肝臓へ戻され胆汁へ排泄されます。

その老廃物の一部は再び吸収されて肝臓で再利用されます。このように肝臓は栄養素の生産、リサイクルの中心となっています。

大塚製薬 HP より引用

https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/liver-cirrhosis-nutritional-therapy/liver-roles/
masa

肝臓は色々な働きがあるんだね!

肝機能障害とは

肝臓の細胞が壊れると肝細胞内に含まれる酵素(肝酵素:ASTやALT)が血液中に出てきます。

また、脂肪の消化・吸収を助ける胆汁が流れる胆道に関連した酵素(胆道系酵素:ALPやγ-GT)も肝機能障害の指標となります。

血液中の肝酵素や胆道系酵素の数値は、通常では一定の範囲におさまっていますが、肝機能障害では基準範囲を超えて上昇します。

また、肝機能障害が進行すると、血液中の肝臓の働きを示す指標(アルブミンやビリルビンなど)も異常となります。

肝機能障害では自覚症状がないことが多く、血液検査で初めて肝機能障害が分かる場合がほとんどです。

血液中の肝酵素や胆道系酵素の数値は肝機能障害の程度を反映するため、数値が高いほど肝臓の障害が大きいことを意味します。

肝機能障害を認めた場合には、障害の程度や原因によっては薬物治療が必要な場合もあります。

一方で肝機能障害を放置した場合には、肝硬変や肝臓がんなど生命に関わる重大な病気に進行する可能性もあります。

肝機能障害といっても原因は様々です。代表的な原因には、①肝炎ウイルス ②薬物・アルコール ③脂肪肝などがあります。

肝炎ウイルスにはB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなど血液や体液を介して感染するものやA型肝炎ウイルスやE型肝炎ウイルスなど

食事の摂取により感染するものがあります。

このうちC型肝炎ウイルスは肝臓がんの一番の原因です。現在は、飲み薬の治療により9割以上でウイルス排除が可能になりました。

一方、お薬や健康食品でも肝機能障害がおきることがあります。

医療機関からの処方薬に比べ、市販薬や健康食品では肝機能障害の発見が遅れることがあり注意が必要です。

また、最近ではアルコールや脂肪肝が原因となる肝臓がんが増加しています。

過度の飲酒の継続や太りすぎによる脂肪肝を放置すると肝臓がんまで進行する場合があります。

放射線医学県民健康管理センター HP より引用

https://fukushima-mimamori.jp/physical-examination/column/column_liverdysfunction.html

検査値

肝機能検査の指標には主に下記のものがあります。

AST(GOT)

何らかの異常によって肝細胞が破壊されることにより値が上昇します。

ただし、ASTは肝臓以外にも存在しているため、肝臓以外の異常が原因で上昇することもあります。

※AST(アスパレート・アミノトランスフェラーゼ)は、ALT (アラニン・アミノトランスフェラーゼ)、

γ-GTP(ガンマ-GTP)とともに総称してトランスアミナーゼとも呼ばれていますが、以前はGOTと呼ばれていました。

基準値

8~38 IU/L

※人間ドック基準範囲:30U/L以下

ALT(GPT)

ALTは、主に肝臓内に多く存在し、何らかの異常によって肝細胞が破壊されることで血液中に漏れ出し値が高くなります。

AST、ALTともに高値を示している場合、肝炎・脂肪肝などの肝臓の異変が考えられます。

※ALT (アラニン・アミノトランスフェラーゼ)は、AST(アスパレート・アミノトランスフェラーゼ)、

γ-GTP(ガンマ-GTP)とともに総称してトランスアミナーゼとも呼ばれていますが、以前はGPTと呼ばれていました。

基準値

4~43 IU/L

※人間ドック基準範囲:30U/L以下

γ-GTP(γ-GT)

肝臓や胆管に多く存在する酵素で、肝細胞や胆汁うっ滞、胆管細胞が破壊されることで血液中に流れ出し値が高くなります。

お酒の飲み過ぎにより値が高くなることが多いですが、薬剤や脂肪肝などでも値が高くなります。

※γ-GTP(ガンマ・グルタミルトランスペプチダーゼ)は、ALT、ASTとともに総称してトランスアミナーゼとも呼ばれています。

基準値

男性:86 U/L以下
女性:48 U/L以下

※人間ドック基準範囲:50U/L以下

肝臓検査.com HP より引用

https://kanzo-kensa.com/examination/blood/

症状

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臨床現場で病院薬剤師として思うこと

肝機能の数値は腎機能に次いで良く確認する値の1つです。

疾患に直結するので入院中に急激に上昇した際は薬剤性のものなのか、別の要因によるものなのかを確認して

迅速に対応しています。

入院中にはこのように医療従事者による気づきがあるのですが普段は肝機能を測定する機会はないと思うので

身体の様子がおかしいなと感じた際はすぐに医療機関に行ってくださいね。

さいごに

生きているうちに病気になることはあると思います。

その際にどのような対処をすれば良いのか不安に思いながら周りに相談をしたり

自身でインターネットで検索して調べる方は多いと思います。

その1つのお助けツールとしてこちらの記事を参考にして頂けたら嬉しいです。

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