とある病院薬剤師が腎機能を示す血液検査項目であるeGFRとクレアチニンクリアランス等の違いについてまとめてみた
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腎機能とは
腎臓は糸球体で血液をこし出して尿へ老廃物を捨て、体内を清浄に保つ「濾過器」のような臓器です。
腎臓の機能は、「老廃物を濾過する力」で評価しますが、それを直接測定することは簡単でないために、さまざまな評価方法を用います。
東京女子医科大学病院 腎臓病総合医療センター より引用
https://www.twmu.ac.jp/NEP/jinkinou-kensa.html
腎機能が悪いと腎排泄の医薬品の血中濃度が上がりすぎて副作用のリスクがあるからより注意が必要になります!!
腎機能を示す血液検査項目
BUN(尿素窒素)
BUNとは?
タンパク質が代謝されると最終的に尿素となって腎臓から排泄されます。この尿素中に含まれる窒素の量が尿素窒素です。
尿素の中の窒素は一定ですから、血液中の尿素窒素が増えるということは代謝されたタンパク質の量が増えた、
すなわち沢山のタンパク質を食べた、あるいは腎臓から尿素の排泄が悪くなったかのどちらかと言うことになります。
通常ではクレアチニンと併せて腎臓の機能の指標として使われます。
注意
尿素窒素は、タンパク質の摂り過ぎ、消化管からの出血、脱水、発熱、甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍などでも数値が上昇します。
逆にタンパク質の摂取不足や肝不全では数値が低くなります。
このように、腎機能以外の影響も受けやすいので、腎機能の指標としては血清クレアチニンのほうがより信頼性が高いと考えられます。
基準値
・8.0~20.0mg/dL
一般社団法人 全国腎臓病協議会 HP より引用
https://www.zjk.or.jp/kidney-disease/inspection-method/#:~:text=血清クレアチニンの正常値,導入が検討されます%E3%80%82
血清クレアチニン値
血清クレアチニン値とは?
クレアチニンは筋肉に含まれているタンパク質の老廃物です。
本来は、尿素窒素と同様に腎臓の糸球体でろ過され尿中に排泄されますが、腎臓の機能が低下すると尿中に排泄される量が減少し、
血液中にクレアチニンが溜まります。
腎臓の機能の低下とともに、血清クレアチニンの値は高くなってきます。ただし、初期の腎臓病の診断には不十分な場合があります。
基準値
血清クレアチニンの正常値は、男性1.2mg/dl以下、女性1.0mg/dl以下です。
患者の状態によって異なりますが、8.0mg/dl以上となると透析導入が検討されます。
一般社団法人 全国腎臓病協議会 HP より引用
https://www.zjk.or.jp/kidney-disease/inspection-method/#:~:text=血清クレアチニンの正常値,導入が検討されます%E3%80%82
クレアチニンクリアランス(CCr)
クレアチニンクリアランス(CCr)とは?
糸球体でろ過される血液の量を調べる検査です。
クレアチニンが実際にどのくらい腎臓で排泄されているかを見るための指標です。
測定するには、1日の尿を溜めておき(24時間蓄尿)、その中にどの程度クレアチニンが排泄されているかを測定し、
血清クレアチニンをもとに計算します(検査室で正確に2時間尿を溜める2時間法という測定方法もあります)。
クレアチニン・クリアランスは腎機能を最も正確に把握でき、特に初期の腎機能悪化を鋭敏に捉えるという特徴があります。
腎機能が悪くなるとろ過される量が減るため、クレアチニン・クリアランスの値も下がります。年齢が高くなるにつれても低下します。
注意
クレアチニン・クリアランスは慢性腎不全が進行するとやや値が高めに出る傾向があるため、
慢性腎不全が進行した場合には不正確になります。
基準値
正常値は、おおよそ100~120ml/分
一般社団法人 全国腎臓病協議会 HP より引用
https://www.zjk.or.jp/kidney-disease/inspection-method/#:~:text=血清クレアチニンの正常値,導入が検討されます%E3%80%82
eGFR
eGFRとは?
クレアチニンでもある程度の腎機能が分かりますが、より正確に腎機能を評価するため、
近年ではeGFR(イー・ジー・エフ・アール)が一般的に用いられています。
「GFR」とは、腎臓の糸球体(しきゅうたい:Glomerular)が1分間にろ過する血液の量(Filtration Rate)のことで、
腎機能そのものを表します。
注意
クレアチニンの値は筋肉量が多い人では高く、少ない人では低くなる傾向があります。
それに伴って、eGFRも低くなったり、高くなったりするため、実際の腎機能を正確に反映していない可能性もあります。
そのような場合、クレアチニンではなく、血液中のシスタチンCの検査値を用いたeGFRも参考にすると、
より腎機能の判定精度が上がるとされています。
シスタチンCは全身の細胞から作られる物質で、シスタチンCの値は筋肉量の影響を受けません。
しかし、シスタチンCの値は、甲状腺機能、喫煙、炎症、脂肪量、妊娠、免疫抑制薬などの影響を受けます。
NOVARTIS HP より引用
https://jinentai.com/doctor_qas/post_14.html
臨床現場で病院薬剤師として思うこと
腎機能は特に腎排泄型の医薬品を投与する際に注意を払わなければならない検査値になります。
特に高齢者が多い医療機関では元々の腎機能が低下している患者が多くいるため要注意です。
また、医師がeGFRで確認して処方する際に高齢者の場合、クレアチニンクリアランスで改めて投与量を確認すると、
投与量が多く処方されている場合があるので気をつけて処方監査を行なっています。
高齢者は複数の医薬品を服用していることが多いため、飲み合わせ等も気をつけなければいけませんね。
さいごに
生きているうちに病気になることはあると思います。
その際にどのような対処をすれば良いのか不安に思いながら周りに相談をしたり
自身でインターネットで検索して調べる方は多いと思います。
その1つのお助けツールとしてこちらの記事を参考にして頂けたら嬉しいです。