とある病院薬剤師が中心静脈栄養(IVH・TPN)で使用する薬剤の糖・電解質液(ハイカリック、リハビックス)についてまとめてみた
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IVHとは
IVHは「経静脈高カロリー輸液(intravenous hyperalimentation)」の略称です。
経口摂取や注入などが困難な患者さんに対して、血管内に直接点滴で栄養をいれることをいいます。
一方のTPNは、「完全非経口的栄養法(total parenteral nutrition)」の略称になります。
経口摂取や注入による経腸・経鼻以外の栄養法を指します。つまり、静脈を介した栄養投与法のことをいいます。
日刊メディカル Aナーシング HP より引用
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/anursing/hatenurse/202103/569392.html#:~:text=IVHは「経静脈高,の略称になります%E3%80%82
IVHのメリット・デメリット
メリット
- 消化管を利用せず、水分、栄養などを補給できる
- 末梢静脈栄養ではできない高カロリーの点滴もでき、確実に栄養を摂取できる
- 長期的に利用することができる
- 自宅でも実施可能
- 何度も針を刺さなくてよい
- 外出や入浴に制限がないものもある
デメリット
- カテーテル挿入部から感染を起こすことがある
- カテーテルの屈曲によって詰まることがある
- 消化管機能が低下する恐れがある
- 自宅で医療的な管理を行う必要があり、介護者に負担がかかる
- カテーテル(管)の自己抜去※
- 事前に外科的な処置や手術を行う必要がある
- 合併症に注意が必要
LIFULL介護 HP より引用
https://kaigo.homes.co.jp/manual/healthcare/kaigoyobo/enge/ivh/
中心静脈栄養(IVH・TPN)の詳細はこちら↓
高齢者の多い当院ではIVHの患者さんが一定数みられます!!
IVH・TPNで使用される医薬品について
IVH・TPN製剤について
- IVH・TPN製剤は配合成分によって主に以下の種類に分かれる
- 糖・電解質液(ハイカリック、リハビックス、カロナリー)
- 糖・電解質・アミノ酸液(ピーエヌツイン)
- 糖・電解質・アミノ酸・総合ビタミン液(ネオパレン、フルカリック)
- 糖・電解質・アミノ酸・総合ビタミン液・微量元素液(エルネオパ)
- 糖・電解質・アミノ酸・脂肪乳剤(ミキシッド)
- 上記の中でさらに糖質などの濃度や含有量が規格によって分かれている場合があり、患者ごとの栄養状態に合わせた製剤が選択される
日経メディカル HP より引用
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/57469a75458b92dc008bb90c.html
糖・電解質液(ハイカリック、リハビックス)
ハイカリック
ハイカリック1〜3号液
組成
効能効果
消化管栄養が不能又は不十分な場合、あるいは休止する場合の経中心静脈輸液療法による栄養補給に用いる。
ハイカリック液-1号は経中心静脈栄養療法の開始時で、耐糖能が不明の場合及び病態により耐糖能が低下している場合の開始液 として、
あるいは侵襲時等で耐糖能が低下しており、カロリー制限の必要がある場合には経中心静脈栄養療法の維持液として用いる。
ハイカリック液-2号は通常の必要カロリー量の患者の維持液として用いる。
ハイカリック液-3号は必要カロリー量の高い患者の維持液として用いる。
用法用量
〈ハイカリック液-1号〉
本剤700mLに対して10%又は12%アミノ酸注射液を200~ 300mLの割合で加えてよく混合し、経中心静脈輸液療法の開始液とする。
通常成人1日1800~2000mLの開始液を24時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
〈ハイカリック液-2号及びハイカリック液-3号〉
本剤700mLに対して10%又は12%アミノ酸注射液を300~400mLの割合で加えてよく混合し、経中心静脈輸液療法の維持液とする。
通常成人1日2000~2200mLの維持液を24時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/470034_3239502X1020_1_12
ハイカリックRF
組成
効能効果
経口、経腸管栄養補給が不能又は不十分で、経中心静脈栄養に頼らざるを得ない場合の
水分、電解質、カロリー補給(腎不全等による高カリウム血症、高リン血症の患者又はそのおそれのある患者に限る)。
用法用量
本剤は、経中心静脈輸液療法の基本液として用いる。
本剤1000mLに対して、ナトリウム及びクロールを含有しないか、
あるいは含有量の少ない5.9~12%アミノ酸注射液を200~ 600mLの割合で加えてよく混合し、
通常成人1日1200~1600mLの維持量を24時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する。
本剤は、高濃度のブドウ糖含有製剤なので、特に投与開始時には耐糖能、肝機能等に注意し、
目安として維持量の半量程度から徐々に1日当たりの投与量を漸増し、維持量とする。 なお、年齢、症状、体重により適宜増減する。
添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/470034_3239527A1036_1_06
リハビックス
組成
効能効果
経口、経腸管栄養補給が不能又は不十分で、経中心静脈栄 養に頼らざるを得ない場合の水分、電解質、カロリー補給 に用いる。
用法用量
〈リハビックス®-K1号輸液〉
経中心静脈輸液療法の開始時で、耐糖能が不明の場合や耐糖能が低下している場合の開始液として、
あるいは侵襲時等で耐糖能が低下しており、ブドウ糖を制限する必要がある場合の維持液として用いる。
500mLに10~12%アミノ酸注射液50~100mLを加えてよく混合し、小児の開始液又は維持液とする。
〈リハビックス®-K2号輸液〉
経中心静脈輸液療法の維持液として用いる。500mLに10~12%アミノ酸注射液100~200mLを加えてよく混合し、小児の維持液とする。
添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/171575_3239515X1036_3_06
臨床現場で病院薬剤師として思うこと
高齢者が多い当院にとって(100歳とか普通にいる)特に内科病棟、介護医療院はIVH製剤が多く処方されています。
処方内容をみていると昔は生きていられなかったであろう状態の患者さんが
ピンピンしているのを見ると医療が発展しているんだなと感じられますね。(それほど歳はとっていないが)
私はいつまで生きれるのやら。
さいごに
生きているうちに病気になることはあると思います。
その際にどのような対処をすれば良いのか不安に思いながら周りに相談をしたり
自身でインターネットで検索して調べる方は多いと思います。
その1つのお助けツールとしてこちらの記事を参考にして頂けたら嬉しいです。