とある病院薬剤師が臨床でよく処方される漢方薬についてわかりやすくまとめてみた No.1〜20
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漢方薬とは

漢方薬
生薬とは、漢方薬を構成する原料です。
植物の葉、茎、根などや鉱物、動物のなかで薬効があるとされる一部分を加工(切る、乾燥する、蒸すなど)したものです。
一方、漢方薬とは、漢方医学の考え方にもとづき、基本的には2種類以上の生薬を定められた量で組み合わせた薬のことです。
つまり、生薬自体を、漢方(or漢方薬)と表現するのは実は間違いです。
例えば、漢方薬である葛根湯(かっこんとう)は、7種類*の生薬から構成されています。
ツムラHP より引用
https://www.tsumura.co.jp/brand/kampo-introduction/about-kampo/
漢方薬の種類

ツムラ医療用漢方製剤一覧




ツムラ pdf より引用
https://medical.tsumura.co.jp/sites/default/files/resources/pdf/products/index/484.pdf
当院で採用している漢方薬
当院で採用している漢方薬をまとめてみました。(1〜20:番号順)
1.葛根湯

<効能効果>
自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症
感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、扁角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎) 、肩こり、上半身の神経痛、じんましん
<有効成分>
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス3.75gを含有する。
日局カッコン 4.0g、日局タイソウ 3.0g、日局マオウ 3.0g、日局ケイヒ 2.0g、日局シャクヤク 2.0g、日局ショウキョウ 2.0g
日局カンゾウ 2.0g
<重大な副作用>
偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害、黄疸

患者が入院時に服用している頻度は稀、当院で処方される頻度も稀ですね!!
7.八味地黄丸

<効能効果>
疲労、倦怠感著しく、尿利減少または頻数、口渇し、手足に交互的に冷感と熱感のあるものの次の諸症
腎炎、糖尿病、陰萎、坐骨神経痛、腰痛、脚気、膀胱カタル、前立腺肥大、高血圧
<有効成分>
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス4.0gを含有する。
日局ジオウ 6.0g、日局ブクリョウ 3.0g、日局サンシュユ 3.0g、日局ボタンピ 2.5g、日局サンヤク 3.0g日局ケイヒ 1.0g
日局タクシャ 3.0g、日局ブシ末 0.5g

患者が入院時に服用している頻度はそこそこ、当院で処方される頻度もそこそこですね!!
9.小柴胡湯

<効能効果>
体力中等度で上腹部がはって苦しく、舌苔を生じ、口中不快、食欲不振、時により微熱、悪心などのあるものの次の諸症
諸種の急性熱性病、肺炎、気管支炎、気管支喘息、感冒、リンパ腺炎、慢性胃腸障害、産後回復不全
慢性肝炎における肝機能障害の改善
<有効成分>
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス4.5gを含有する。
日局サイコ 7.0g、日局ハンゲ 5.0g、日局オウゴン 3.0g、日局ニンジン 3.0g、日局カンゾウ 2.0g
日局ショウキョウ 1.0g、日局タイソウ 3.0g
<重大な副作用>
間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパチー、横紋筋融解症、肝機能障害、黄疸

患者が入院時に服用している頻度はほとんどいない、当院で処方される頻度は稀ですね!!
14.半夏瀉心湯

<効能効果>
みぞおちがつかえ、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便または下痢の傾向のあるものの次の諸症
急・慢性胃腸カタル、醗酵性下痢、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症
<有効成分>
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス4.5gを含有する。
日局ハンゲ 5.0g、日局オウゴン 2.5g、日局カンキョウ 2.5g、日局タイソウ 2.5g、日局ニンジン 2.5g、日局オウレン 1.0g
日局カンゾウ 2.5g
<重大な副作用>
間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害、黄疸
15.黄連解毒湯

<効能効果>
比較的体力があり、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらする傾向のある次の諸症
鼻出血、高血圧、不眠症、ノイローゼ、胃炎、二日酔、血の道症、めまい、動悸、湿疹・皮膚炎、皮膚瘙痒症
<有効成分>
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス1.5gを含有する。
日局オウゴン 3.0g、日局オウレン 2.0g、日局サンシシ 2.0g、日局オウバク 1.5g
<重大な副作用>
間質性肺炎、肝機能障害、黄疸、腸間膜静脈硬化症
16.半夏厚朴湯

<効能効果>
気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症
不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、神経性食道狭窄症、不眠症
<有効成分>
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス2.5gを含有する。
日局ハンゲ 6.0g、日局ブクリョウ 5.0g、日局ソヨウ 2.0g、日局ショウキョウ 1.0g、日局コウボク 3.0g
17.五苓散

<効能効果>
口渇、尿量減少するものの次の諸症
浮腫、ネフローゼ、二日酔、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病
<有効成分>
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス2.0gを含有する。
日局タクシャ 4.0g、日局ソウジュツ 3.0g、日局ブクリョウ 3.0g、日局ケイヒ 1.5g、日局チョレイ 3.0g
19.小青竜湯

<効能効果>
下記疾患における水様の痰、水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、咳嗽、流涙
気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒
<有効成分>
本品9.0g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス5.0gを含有する。
日局ハンゲ 6.0g、日局ゴミシ 3.0g、日局カンキョウ 3.0g、日局サイシン 3.0g、日局カンゾウ 3.0g、
日局シャクヤク 3.0g、日局ケイヒ 3.0g、日局マオウ 3.0g
<重大な副作用>
間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害、黄疸
重大な副作用まとめ

ツムラ HP より引用
https://medical.tsumura.co.jp/products/safety.html/se.disease/psa.html
偽アルドステロン症
偽性アルドステロン症とも表記されます。
高血圧や低K血症など、原発性アルドステロン症と同様の臨床所見を呈するにもかかわらず、アルドステロン高値を示さない病態です。
漢方薬の一成分である甘草に含まれるグリチルリチン酸の作用により、腎局所でのコルチゾール不活性化が阻害され、
そこで過剰となったコルチゾールが腎局所でミネラルコルチコイド作用を呈する病態を示します。
血中レニン、アルドステロンは、いずれも低値を示します。
腎局所で、活性型のコルチゾール(F)が上昇し、不活性型のコルチゾン(E)が低下するため、尿中E/F比の低下が確認されます。
局所でのコルチゾールの上昇であるため、通常、血中コルチゾールやACTHは正常範囲を示します。
日本内分泌学会 HP より引用
https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=36
ミオパチー
ミオパチーは筋肉に異常が生じることで引き起こされる病気の総称です。
具体的には、筋ジストロフィー・先天性ミオパチー・炎症性ミオパチー・代謝性ミオパチーなど多くの病気が存在します。
ミオパチーでは、障害を受けた筋肉がうまく働かなくなることから、筋力の低下や運動麻痺などの症状が現れます。
原因は、それぞれの病気によって大きく異なるため、治療方法も病気の種類や状況によって異なります。
Medical note HP より引用
https://medicalnote.jp/diseases/ミオパチー?utm_campaign=ミオパチー&utm_medium=ydd&utm_source=yahoo
間質性肺炎
間質性肺疾患(間質性肺炎)とは、肺の間質と呼ばれる部分を中心に炎症が起こる病気の総称です。
肺は肺胞という小さな袋の集まりで、口や鼻から吸い込んだ空気は気道を通って肺胞に運ばれ、肺胞の壁を通して酸素が取り込まれます。
肺胞は大きく実質と間質に分けられ、肺胞の中を実質、肺胞の壁や周囲の組織を間質といい、この間質に炎症が起こる病気が間質性肺炎です。
間質性肺炎では、炎症によって徐々に肺胞壁が厚く硬くなります(線維化)。
そうなると肺がうまく膨らまなくなるため、息苦しさを感じたり咳が出たりします。進行すると呼吸不全になることもあります。
間質性肺炎には原因や病態に応じてさまざまな種類がありますが、特に多い特発性肺線維症は50歳以上の男性に多いとされています。
Medical note HP より引用
https://medicalnote.jp/diseases/間質性肺疾患?utm_campaign=間質性肺疾患&utm_medium=ydd&utm_source=yahoo
横紋筋融解症
横紋筋融解症とは、薬やけが、熱中症などが原因となり筋肉が壊れる病気で、発症すると筋肉の痛みやこわばりを感じます。
また筋肉が破壊されると、ミオグロビンなど筋肉中のタンパク質が血液中に大量に放出されるため、
重症の場合は腎臓の機能が低下して命に関わる可能性もあります。
横紋筋融解症の原因となる薬には、コレステロール値が高いときに飲む薬をはじめ、さまざまな種類があるといわれます。
薬を服用している際に気になる症状を感じた場合には、早めに医療機関を受診することが重要です。
Medical note HP より引用
https://medicalnote.jp/diseases/横紋筋融解症?utm_campaign=横紋筋融解症&utm_medium=ydd&utm_source=yahoo
腸間膜静脈硬化症
腸間膜静脈硬化症(MP:mesenteric phlebosclerosis)は、大腸壁内から腸間膜の静脈に石灰化などが起こり、
静脈還流の障害によって、腸管の慢性虚血性変化をきたす疾患であり、静脈硬化性大腸炎(phlebosclerotic colitis)とも呼ばれます。
症状は、主に腹痛、下痢、嘔気・嘔吐などですが、無症状の場合もあり、便潜血陽性等で発見されることもあります。
また、重症例ではイレウス(腸閉塞)様症状を呈する場合もあります。
ツムラ HP より引用
https://medical.tsumura.co.jp/products/safety.html/se.disease/mp.html
臨床現場で病院薬剤師として思うこと

正直漢方薬についてはあまり気持ちを入れて勉強してこなかったです。
ただ、当院の医師、看護師より漢方について聞かれる頻度が多くなってきたので
ブログを通じて学んでいる形になっています。
種類が多いですが1つ1つ区分けしていきながら代表的なものを理解していきたいと多います。
さいごに

生きているうちに病気になることはあると思います。
その際にどのような対処をすれば良いのか不安に思いながら周りに相談をしたり
自身でインターネットで検索して調べる方は多いと思います。
その1つのお助けツールとしてこちらの記事を参考にして頂けたら嬉しいです。