とある病院薬剤師がステロイド外用剤であるstrong(Ⅲ)の医薬品についてわかりやすくまとめてみた

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ステロイドとは

「ステロイド」とは、人の副腎皮質という臓器で作られる抗炎症作用を持つステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)を基礎にして

合成した薬効成分「合成副腎皮質ホルモン」の通称です。

化学的に合成することにより、副腎皮質ホルモンが持っている抗炎症作用などの有益な作用を強化しています。

ステロイドを主成分として配合した薬を「ステロイド剤」といいます。ステロイド剤には患部に直接塗布する「外用剤(塗り薬)」のほかに、

口から投与する「内服薬」、注射で体内に投与する「注射薬」などの剤形があり、目的に合わせて使用します。

詳しい記事はこちら

ステロイド外用剤について

ステロイド外用剤は薬効成分としてステロイドを配合した湿疹・皮膚炎の治療などに用いられる薬のことで、患部に直接塗って使用します。

ステロイド外用剤は「抗炎症作用」などを持っており、有効成分が局所にだけ作用し、皮膚の炎症をすみやかに抑え、

かゆみや赤みなどの症状を鎮める働きがあります。

ヒフノコトサイト HP より引用

https://hc.mt-pharma.co.jp/hifunokoto/selfmedication/1957#:~:text=ステロイド外用剤は薬効,を鎮める働きがあります%E3%80%82
masa

軟膏類は様々処方されますがどのような疾患の状態で処方されるのかを常に見極めていかないといけません!

strong(Ⅲ)一覧

ステロイド剤は強さによって、Strongest(Ⅰ)、very strong(Ⅱ)、 strong(Ⅲ)、 mild(Ⅳ)、 weak(Ⅴ) の5段階に分けられます。

乳幼児の場合は、Strong(Ⅲ)以下の薬が使われますが、ワセリンなどの保湿剤と混合して使用する場合は、

Strongest(Ⅰ)やvery strong(Ⅱ)を使用することもあります。

また、顔や首は他の部位より皮膚が薄く成分が吸収されやすいので体より1段階低い薬を使用します。

デプロドンプロピオン酸エステル(エクラー軟膏など)

効能効果

○ 湿疹・皮膚炎群 (進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、日光皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、脂漏性皮膚炎を含む)

○ 薬疹・中毒疹

○ 虫さされ

○ 痒疹群 [じん麻疹様苔癬、ストロフルス、結節性痒疹 (固定じん麻疹)を含む]

○ 乾癬

○ 紅皮症

○ 紅斑症(多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑)

○ ジベル薔薇色粃糠疹

○ 掌蹠膿疱症

○ 特発性色素性紫斑(マヨッキー紫斑、シャンバーグ病)

○ 円形脱毛症

作用機序

副腎皮質ホルモンは標的細胞と接触すると、細胞膜を通過して細胞質の中に入り込む。

細胞質の中には副腎皮質ホルモンに特異的な受容体蛋白が存在し、この蛋白と結合してホルモン・受容体複合体が形成される。

この複合体がさらに活性化されて核膜を通過して核の中に入り、DNAと結合し、

次いでRNAポリメラーゼがこのDNAに結合すると遺伝子情報がmRNAに転写され、特異的なmRNAが形成される。

さらに特異的なmRNAは核の外に出て細胞質で特有な蛋白が合成され、この蛋白が抗炎症作用を発現する。

用法用量

通常1日1~数回、適量を患部に塗布する。

薬価

総称名販売名薬価
エクラー
(久光製薬)
エクラー軟膏0.3%
(先発品)
12.6円/g
エクラークリーム0.3%
(先発品)
12.6円/g
エクラー
(久光製薬)
エクラーローション0.3%
(先発品)
12.6円/g
エクラー
(久光製薬)
エクラープラスター20μg/cm2
(先発品)
37.7円/
エクラー
(久光製薬)
エクラープラスター20μg/cm237.7円/

添付文書

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/650034_2646729M1048_5_08

デキサメタゾンプロピオン酸エステル(メサデルム軟膏など)

効能効果

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、日光皮膚炎を含む)、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹を含む)、

虫さされ、薬疹・中毒疹、乾癬、掌蹠膿疱症、扁平紅色苔癬、紅皮症、慢性円板状エリテマトーデス、

紅斑症(多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑、遠心性丘疹性紅斑)、毛孔性紅色粃糠疹、

特発性色素性紫斑(マヨッキー紫斑、シャンバーク病、紫斑性色素性苔癬様皮膚炎)、肥厚性瘢痕・ケロイド、

肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫)、悪性リンパ腫(菌状息肉症を含む)、アミロイド苔癬、斑状アミロイドージス、

天疱瘡群、家族性良性慢性天疱瘡、類天疱瘡、円形脱毛症

作用機序

炎症の初発反応においてはアラキドン酸が生成され、さらに炎症関与物質のプロスタグランジンやロイコトリエン等が生成される。

このアラキドン酸生成に関わる酵素(ホスホリパーゼA2)を阻害するのが特異性蛋白リポコルチンであり、

コルチコステロイドはこのリポコルチンを生成させることにより、抗炎症作用を発現するものと考えられている。

用法用量

通常、1日1~数回、適量を患部に塗布する。

薬価

総称名販売名薬価
メサデルム
(岡山大鵬薬品)
メサデルムクリーム0.1%
(先発品)
9.6円/g
メサデルム軟膏0.1%
(先発品)
9.6円/g
メサデルムローション0.1%
(先発品)
9.6円/g
デキサメタゾンプロピオン酸エステル
(東光薬品工業)
デキサメタゾンプロピオン酸エステル軟膏0.1%「ラクール」
(後発品)
7.3円/g
デキサメタゾンプロピオン酸エステルクリーム0.1%「ラクール」
(後発品)
7.3円/g
デキサメタゾンプロピオン酸エステル
(MAE)
デキサメタゾンプロピオン酸エステル軟膏0.1%「MYK」
(後発品)
7.3円/g
デキサメタゾンプロピオン酸エステルクリーム0.1%「MYK」
(後発品)
7.3円/g
デキサメタゾンプロピオン酸エステルローション0.1%「MYK」
(後発品)
7.3円/g

添付文書

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/340264_2646726M1095_1_09

デキサメタゾン吉草酸エステル(ボアラ軟膏など)

効能効果

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬を含む)、乾癬、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、固定蕁麻疹を含む)、掌蹠膿疱症、虫刺症、

慢性円板状エリテマトーデス、扁平苔癬

作用機序

デキサメタゾン吉草酸エステルは、標的細胞のグルココルチコイド受容体と結合し、炎症・免疫反応に関わる標的遺伝子の転写の活性化や

NF-κB等の転写調節因子の活性化を直接阻害することで、炎症性サイトカインの産生抑制やT細胞等の増殖抑制などの作用が

総合的に作用して抗炎症効果を発揮するものと考えられている。

また、合成副腎皮質ステロイドの血管収縮作用は抗炎症作用と相関することから、その作用機序も同じと考えられている。

用法用量

通常1日1~数回適量を患部に塗布する。なお、症状により適宜増減する。

薬価

総称名販売名薬価
ボアラ
(マルホ)
ボアラ軟膏0.12%
(先発品)
11.3円/g
ボアラクリーム0.12%
(先発品)
11.3円/g

添付文書

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/730155_2646724M1045_1_09

ベタメタゾン吉草酸エステル(リンデロン−V軟膏、ベトネベート軟膏など)

効能効果

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、皮膚そう痒症、

痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹を含む)、虫さされ、乾癬、掌蹠膿疱症、扁平苔癬、光沢苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、

ジベルバラ色粃糠疹、紅斑症(多形滲出性紅斑、結節性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑)、紅皮症(悪性リンパ腫による紅皮症を含む)、

慢性円板状エリテマトーデス、薬疹・中毒疹、円形脱毛症(悪性を含む)、熱傷(瘢痕、ケロイドを含む)、凍瘡、天疱瘡群、

ジューリング疱疹状皮膚炎(類天疱瘡を含む)、痔核、鼓室形成手術・内耳開窓術・中耳根治手術の術創

作用機序

ステロイドは細胞質に存在する熱ショック蛋白質、抑制蛋白質と複合体を形成したステロイド受容体に結合後核内に移行し、

ステロイド反応性の遺伝子を活性化させ、その薬理作用を発揮すると考えられている。

また、血管内皮細胞やリンパ球等の細胞膜の障害を抑制するような膜の安定性に関与する作用や、

フォスフォリパーゼA2と呼ばれる細胞膜リン脂質からロイコトリエンやプロスタグランジンなど種々の炎症惹起物質を誘導する

重要な酵素の機能を抑える作用も知られている。

その作用機序としては、単量体のステロイドとその受容体が複合体を形成することで、

NFκBやAP- 1と呼ばれるサイトカイン産生の誘導や細胞接着分子の発現等を調節している細胞内転写因子の機能を抑制することで、

2量体の受容体と結合した場合、リポコルチン等の誘導を介して、炎症を制御すると考えられている。

免疫抑制作用に関しては、リンパ球に対する直接的な機能抑制、アポトーシスの誘導によると考えられている。

用法用量

通常、1日1~数回、適量を患部に塗布する。なお、症状により適宜増減する。

薬価

総称名販売名薬価
ベトネベート
(グラクソ・スミスクライン)
ベトネベート軟膏0.12%
(準先発品)
19.6円/g
ベトネベートクリーム0.12%
(準先発品)
19.6円/g
リンデロン
(シオノギファーマ)
リンデロン−Vローション
(準先発品)
16.9円/mL
リンデロン
(シオノギファーマ)
リンデロン−V軟膏0.12%
(準先発品)
16.9円/g
リンデロン−Vクリーム0.12%
(準先発品)
16.9円/g
ベタメタゾン吉草酸エステル
(陽進堂)
ベタメタゾン吉草酸エステルクリーム0.12%「YD」
(後発品)
6円/g
ベタメタゾン吉草酸エステル
(東和薬品)
ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12%「トーワ」
(後発品)
6.9円/g
ベタメタゾン吉草酸エステル
(岩城製薬)
ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12%「イワキ」
(後発品)
8.5円/g
ベタメタゾン吉草酸エステル
(岩城製薬)
ベタメタゾン吉草酸エステルローション0.12%「イワキ」
(後発品)
8.5円/mL
ベタメタゾン吉草酸エステル
(辰巳化学)
ベタメタゾン吉草酸エステルクリーム0.12%「TCK」
(後発品)
6円/g

添付文書

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/343018_2646701M2156_2_04

フルオシノロンアセトニド(フルコート軟膏など)

効能効果

○湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)

○皮膚そう痒症痒疹群(じん麻疹様苔癬、ストロフルス、固定じん麻疹を含む)

○虫さされ

○乾癬

○掌蹠膿疱症

○薬疹・中毒疹

作用機序

コルチコステロイドは、標的細胞の細胞質内に入り、そこに存在するレセプターと結合後、

核内に移行して遺伝子を活性化し、合成されたメッセンジャーRNAが細胞質内に特異的蛋白リポコルチン合成する。

細胞膜を形成するリン脂質に含まれるアラキドン酸は、ホスホリパーゼA2(PLA2)により遊離後、

代謝を受けて各種のプロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエンとなり炎症に関与するが、

リポコルチンはこのPLA2を阻害することにより、抗炎症作用を発現するものと考えられている。

用法用量

通常、1日1~数回、適量を患部に塗布する。なお、症状により適宜増減する。

薬価

総称名販売名薬価
フルコート
(田辺三菱製薬)
フルコートクリーム0.025%15.5円/g
フルコート軟膏0.025%
(準先発品)
15.5円/g
フルコート
(田辺三菱製薬)
フルコート外用液0.01%16.8円/mL
フルコート
(田辺三菱製薬)
フルコートスプレー0.007%8.3円/g
フルオシノロンアセトニド
(陽進堂)
フルオシノロンアセトニド軟膏0.025%「YD」
(後発品)
10.8円/g

添付文書

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/400315_2646709M1121_1_07

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臨床現場で病院薬剤師として思うこと

院内に採用しているステロイドの外用剤について医師に提案することが多いのでまとめてみました。

また、病院によって採用薬が異なっているので把握するためでもあります。

まずは各ステロイド剤の強さのものを1つずつ覚えていって引き出しを増やしていった方が良いかなと思います。

適切な医薬品を選択しなければ、患者さんに不利益が生じてしまうので患者さんの状態をまず確認してから

医薬品を提案していくことを意識していきましょうね。

また、患者さん側の立場からしてみると、疑問に思ったことがあった際は気軽に医療従事者に質問してくださいね。

さいごに

生きているうちに病気になることはあると思います。

その際にどのような対処をすれば良いのか不安に思いながら周りに相談をしたり

自身でインターネットで検索して調べる方は多いと思います。

その1つのお助けツールとしてこちらの記事を参考にして頂けたら嬉しいです。

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