とある病院薬剤師が脳梗塞の病態、治療薬についてわかりやすくまとめてみた

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脳梗塞とは

脳梗塞とは脳を栄養とする動脈の血行不良により、酸素や栄養を受けている神経細胞が死ぬことでさまざまな症状をきたす病気です。

脳梗塞は、脳卒中のうちの1つです。

一時的に血管が詰まる一過性脳虚血発作(TIA)は、24時間以内に完全に元の状態に戻るため後遺症を残すことがなく、脳梗塞とは区別されます。

しかし、TIAは脳梗塞の前触れ発作ともいわれ、たとえ完全に元に戻ったとしても直ちに原因を明らかにし、脳梗塞への移行を阻止すべき病気です。

かつて脳卒中の大部分は“脳出血”が占めていましたが、近年は逆転し“脳梗塞”が上回るようになりました。

その理由として、高血圧対策の普及と生活習慣の変化による糖尿病や脂質異常症の増加が考えられます。

日本では欧米に比べてラクナ梗塞の割合が多い傾向がありましたが、脂質異常症や糖尿病の増加に伴い、アテローム血栓性梗塞が増えています

また、高齢化に伴い心房細動の患者さんが増加しているため、心原性脳塞栓も増えています。

Medical note HP より引用

https://medicalnote.jp/diseases/脳梗塞?utm_campaign=脳梗塞&utm_medium=ydd&utm_source=yahoo

一過性脳虚血発作(TIA)とは

一過性脳虚血発作(TIA)は、一過性の神経脱落症状を突然引き起こす局所的な脳虚血で、

永続的な脳梗塞を伴わない(例 MRIの拡散強調画像で陰性)ものである。診断は臨床的に行う。

頸動脈内膜剥離術またはステント留置術、抗血小板薬、および抗凝固薬は、特定の病型のTIA後に生じうる脳卒中のリスクを低下させる。

原因

脳梗塞の原因はタイプによって異なります。

ラクナ梗塞

脳の細い血管が詰まることで起こります。

詳しい記事はこちらから↓

アテローム血栓性脳梗塞

比較的太い血管が動脈硬化により詰まることで起こります。

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心原性脳塞栓症

心房細動などの不整脈が原因で心臓の左心房でできた血栓が脳の血管を詰まらせることで起こります。

詳しい記事はこちらから↓

脳梗塞のリスクファクター

脳梗塞は加齢、男性、脳梗塞の家族歴など、修正困難なリスクファクター(危険因子)のほかに以下のような修正可能な危険因子がありますので、

これらの因子を是正することが大切です。

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症(高コレステロール血症、高トリグリセリド血症)
  • 心房細動
  • 喫煙
  • 慢性腎臓病
  • 肥満
  • 運動不足
  • 大量の飲酒
  • 過剰な塩分摂取
  • ストレス
  • 食生活の欧米化(メタボリックシンドローム)

Medical note HP より引用

https://medicalnote.jp/diseases/脳梗塞?utm_campaign=脳梗塞&utm_medium=ydd&utm_source=yahoo

脳梗塞の症状

脳梗塞は突然発症します。

その多くは片麻痺へんまひや感覚障害など生活に支障をきたす重大な後遺症を残すことがあり、

最悪の場合には命に関わる事態になりますので、直ちに対応して後遺症を最小限にすることが極めて重要です。

そのためには初期症状を知って、直ちに緊急受診行動をとることができるようにしておくことが大切です。

発症から1分でも早く脳卒中の対応が可能な病院にたどり着くことが、脳卒中から助かる第一歩です。

特に症状が軽い場合は、「この程度で受診しては大げさではないか?」という思いで受診行動が遅れて治療の機会を失いがちです。

いざというときのために「脳卒中は『顔・腕・ことば』ですぐ受診」のポイントを覚えて、直ちに受診行動がとれるよう心がけましょう。

  • 顔:「イーッ」と言ってもらう。口の片方だけしか動かないときは異常です。
  • 腕:両手のひらを上に向けて「前にならえ」の姿勢をとらせ、目をつぶってゆっくり5つ数えましょう。片側の腕が下がってくる場合は異常です。
  • 言葉:ろれつが回っていない、言葉が理解できない、話せない場合は異常です。一人暮らしの方なら、いつも話している人に電話してみるのも役に立ちます。

顔、腕、ことばの3つの検査を行って、1つでも異常がある人を脳卒中だと判断したとき、およそ7割当たります。

これは、海外ではACT-FASTとして知られている脳卒中の判断方法です(ACT:行動、F:face、A:arm、S:speech、T:time)。

暗記だけでなく、とっさのときに正しくテストできるよう常日頃訓練しておきましょう。

検査・診断

ひとたび脳の血管が閉塞すると、血流再開を得られても元に戻らない不可逆的損傷を被る範囲は次第に拡大していきます。

したがって、脳梗塞を疑う症状を自覚したときには迷うことなく病院へ行き、すぐに検査を受ける必要があります。

頭部CTや脳MRIの検査で、まず脳卒中が起きているのかどうかを確認します。

特に、脳MRIの拡散強調画像(DWI)で高信号を認めることが確定診断の1つとなります。

梗塞が生じている範囲から、どの辺りの血管が詰まっているかを予測できますが、

詰まっている箇所を確定するためにカテーテルを用いた脳血管撮影を行うこともあります。

Medical note HP より引用

https://medicalnote.jp/diseases/脳梗塞?utm_campaign=脳梗塞&utm_medium=ydd&utm_source=yahoo

脳梗塞の治療について

ラクナ梗塞やアテローム血栓症梗塞に対しては、動脈の中で血栓がつくられるのを防ぐため、抗血小板薬が有用となります。

また、頸動脈けいどうみゃくに高度の狭窄きょうさくを認める場合には、頸動脈内皮剥離術(CEA)という手術によってプラークを除去する方法や、

血管内にステントを置いて狭窄部分を広げるステント留置術(CAS)が行われることもあります。

さらに、メタボリックシンドロームや高血圧、喫煙など、是正可能なリスクファクターの徹底した治療、管理、

悪い生活習慣の改善が再発予防につながると考えられます。

心原性脳塞栓症(左房内血栓)の原因となる血栓は、動脈にできる血栓とは異なり、フィブリンという成分が主体となった血栓を形成します。

このような血栓に対する治療としては抗凝固薬が有用です。

抗凝固薬の種類として、これまでワルファリンカリウムという内服薬が用いられてきましたが、

現在はNOACsと呼ばれる新しい抗凝固薬が登場しています。

NOACsはワルファリンカリウムとは異なり、直接トロンビンまたは第Ⅹa因子を阻害する薬で、

副作用として問題となる頭蓋内出血のリスクが低いと考えられています。

脳梗塞の治療薬について

脳梗塞は、脳の血管が動脈硬化を来した部位に形成された血栓(血の塊)、あるいは心臓で出来た血栓により脳血管が詰まり脳が壊死するものです。

脳梗塞発症から4.5時間を超急性期といいます。

発症後早期に、つまった血管を再開通させることができると、症状が劇的に改善する可能性があります。

t-PAによる治療

発症4.5時間以内であればt-PAという、血栓を溶かすお薬を静脈に注射し、血管を塞いでいる血の固まりを溶かします。

ただし、検査に時間がかかるため(1時間程度)、この治療を受けるには少なくとも3.5時間以内に病院に着いている必要があります。

血管内治療

カテーテルという道具を詰まっている血管まで通し、血の固まりを削り取ったり、吸引して再開通させます。

発症24時間以内で「内頚動脈」または「中大脳動脈水平部」という太い血管が詰まっている場合、

t-PA治療に引き続いて血管内治療を行ったほうが後遺症が少なくなることが分かっています。

脳梗塞急性期の薬による治療

脳梗塞がおこってから48時間以内であれば血が固まるのを抑制する薬(抗凝固薬)を投与します。

アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞の場合には、血を固まりにくくするお薬

(抗血小板薬:一般的には血をさらさらさせるお薬として知られています)を投与します。

大塚製薬 HP より引用

https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/stroke/treatments-for-cerebral-infarction/
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臨床現場で病院薬剤師として思うこと

脳梗塞は高齢者が多い当院の内科病棟ではよく見られます。

そのため、脳梗塞の治療、病態については常に理解して最新の情報についてアップデートしていくことは必要になります。

また、脳梗塞になる前に身体の様子がおかしいなと感じたらすぐに医療機関へ受診してくださいね。

早期発見、早期治療が予後を確実に良くしていきます。

さいごに

生きているうちに病気になることはあると思います。

その際にどのような対処をすれば良いのか不安に思いながら周りに相談をしたり

自身でインターネットで検索して調べる方は多いと思います。

その1つのお助けツールとしてこちらの記事を参考にして頂けたら嬉しいです。

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