とある病院薬剤師がV2受容体拮抗剤(サムスカ)についてわかりやすくまとめてみた

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利尿薬について

利尿薬

塩分制限だけでは水分貯留が軽減しない場合、しばしば利尿薬が処方されます。

この種の薬は、作られる尿の量を増やすことで腎臓からの塩分と水分の除去を助け、体全体の水分を減少させます。

フロセミドやトラセミド、ブメタニドなどのループ利尿薬は、心不全に対して最もよく使用される利尿薬です。

これらの利尿薬は通常、長期にわたって服用されますが、緊急時には静脈内投与すると非常に効果的です。

ループ利尿薬は中等度から重度の心不全に適しています。

より効果が穏やかで、血圧を下げる作用もあるサイアザイド系利尿薬(ヒドロクロロチアジドなど)は、

心不全に加えて高血圧がみられる人などに処方されます。

ループ利尿薬とサイアザイド系利尿薬には、尿中にカリウムを排出させる作用があり、低カリウム血症を引き起こすことがあります。

そのため、カリウムの濃度を上昇させる利尿薬(カリウム保持性利尿薬)や、カリウムのサプリメントと併用することがあります。

心不全のすべての人にとって、スピロノラクトンは望ましいカリウム保持性利尿薬であり、腎機能がひどく低下しない限り使用できます。

この薬は心不全患者の延命に役立ちます。

利尿薬の服用は尿失禁を悪化させる可能性がありますが、通常は、トイレが利用できないときやトイレへのアクセスが不便なときに

失禁のリスクが生じることがないように、利尿薬を使用するタイミングを調整することが可能です。

V2受容体とは

バソプレシンは抗利尿ホルモン(ADH)であり、視床下部で合成され、下垂体後葉の神経終末に貯蔵されている。

血漿浸透圧の上昇、血液量の減少で分泌が促進される。7回膜貫通型受容体(Gタンパク共役受容体)に属する、

V1a、V1b、V2受容体の存在が知られている。

V2受容体は腎集合管にあり、アデニル酸シクラーゼ-cAMP系を活性化し、水チャネルであるアクアポリン2を管腔側細胞膜へ移動させる。

膜の水透過性が高まる結果、水の再吸収が促進され尿量が減少する。

V1a受容体は心筋、血管平滑筋、大腸平滑筋などに分布し血圧上昇作用、腸管蠕動運動促進作用をおこす。

V1b受容体は下垂体前葉に有りCRHによるACTH分泌を増強する。ADHの合成・分泌障害により中枢性尿崩症が、

作用減弱により腎性尿崩症が生ずる。

日本薬学会 より引用

https://www.pharm.or.jp/words/word00867.html#:~:text=V2受容体は腎,尿量が減少する%E3%80%82

主な副作用

  • 消化器症状
    • 口渇、便秘、食欲不振、吐き気、下痢などがあらわれる場合がある
  • 精神神経系症状
    • 頭痛、めまい、不眠などがあらわれる場合がある
  • 腎臓・泌尿器症状
    • 頻尿、多尿などがあらわれる場合がある
  • 高ナトリウム血症
    • 本剤の利尿作用における血液濃縮により血液中のナトリウム濃度が過度に高くなる場合がある
    • 本剤を服用中は飲水量、尿量、口渇、脱水、血清ナトリウム濃度などに十分注意する
  • 肝機能障害
    • AST(GOT)、ALT(GPT)などの上昇を伴う肝機能障害があらわれる場合がある
    • 倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸、発疹、吐き気・嘔吐、痒みなどがみられ、症状が続く場合には医師や薬剤師に連絡する

日経メディカル HP より引用

https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/57ccc81cac65bae1018b456a.html
masa

V2受容体拮抗剤は近年、多くの患者さんに服用されている薬なので正しい知識を身につけておきましょう!!

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V2受容体拮抗剤

トルバプタン(サムスカ)

効能効果

○ ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留

○ ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な肝硬変における体液貯留

○ 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)における低ナトリウム血症の改善

○ 腎容積が既に増大しており、かつ、腎容積の増大速度が速い常染色体優性多発性のう胞腎の進行抑制

作用機序

腎集合管でのバソプレシンによる水再吸収を阻害することにより、選択的に水を排泄し、

電解質排泄の増加を伴わない利尿作用(水利尿作用)を示す。

また、多発性のう胞腎においてはバソプレシンによる細胞内cAMPの上昇を抑制することにより、腎容積及び腎のう胞の増大を抑制する。

用法用量

<内服>

〈心不全における体液貯留〉

通常、成人には15mgを1日1回経口投与する。

〈肝硬変における体液貯留〉

通常、成人には7.5mgを1日1回経口投与する。

〈SIADHにおける低ナトリウム血症〉

通常、成人には7.5mgを1日1回経口投与する。

必要に応じて、望ましい血清ナトリウム濃度に達するまで段階的に増量できる

なお、患者の状態により適宜増減するが、最高用量は1日60mgまでとする。

〈常染色体優性多発性のう胞腎〉

通常、成人には1日60mgを2回(朝45mg、夕方15mg)に分けて経口投与を開始する。

1日60mgの用量で1週間以上投与し、忍容性がある場合には、1日90mg(朝60mg、夕方30mg)、

1日120mg(朝90mg、夕方30mg)と1週間以上の間隔を空けて段階的に増量する。

なお、忍容性に応じて適宜増減するが、最高用量は1日120mgまでとする。

薬価

総称名販売名薬価
サムスカ
(大塚製薬)
サムスカOD錠7.5mg
(先発品)
836.3円/錠
サムスカOD錠15mg
(先発品)
1295.5円/錠
サムスカOD錠30mg
(先発品)
2355.7円/錠
サムスカ顆粒1%
(先発品)
1316.6円/g
総称名販売名薬価
トルバプタン
(ニプロ)
トルバプタンOD錠7.5mg「ニプロ」
(後発品)
361円/錠
トルバプタン
(トーアエイヨー)
トルバプタンOD錠7.5mg「TE」
(後発品)
361円/錠
トルバプタン
(共創未来ファーマ)
トルバプタンOD錠7.5mg「KMP」
(後発品)
429.5円/錠
トルバプタンOD錠15mg「KMP」
(後発品)
747.8円/錠
トルバプタン
(ニプロ)
トルバプタンOD錠15mg「ニプロ」
(後発品)
626.7円/錠
トルバプタン
(トーアエイヨー)
トルバプタンOD錠15mg「TE」
(後発品)
626.7円/錠
トルバプタン
(大塚製薬工場)
トルバプタンOD錠7.5mg「オーツカ」
(後発品)
361円/錠
トルバプタンOD錠15mg「オーツカ」
(後発品)
626.7円/錠
トルバプタン
(沢井製薬)
トルバプタンOD錠7.5mg「サワイ」
(後発品)
361円/錠
トルバプタンOD錠15mg「サワイ」
(後発品)
626.7円/錠
トルバプタン顆粒1%「サワイ」
(後発品)
594.1円/g
トルバプタン
(東和薬品)
トルバプタンOD錠7.5mg「トーワ」
(後発品)
361円/錠
トルバプタンOD錠15mg「トーワ」
(後発品)
626.7円/錠
トルバプタン顆粒1%「トーワ」
(後発品)
594.1円/g
トルバプタン
(第一三共エスファ)
トルバプタンOD錠7.5mg「DSEP」
(後発品)
361円/錠
トルバプタンOD錠15mg「DSEP」
(後発品)
626.7円/錠
トルバプタン
(ニプロ)
トルバプタンOD錠7.5mg「ニプロ」
(後発品)
361円/錠
トルバプタン
(ニプロ)
トルバプタンOD錠15mg「ニプロ」
(後発品)
626.7円/錠

添付文書

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/180078_2139011D1022_1_12

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臨床現場で病院薬剤師として思うこと

V2受容体拮抗剤近年、開発された医薬品で特に電解質異常を気にせずに慢性心不全患者に投与することが出来るので

循環器内科のドクターは良く処方されます。(水のみ排出されるため、結局体内の高Na血症に注意しなければなりませんが)

また、後発医薬品が発売されたことにより、従来よりも薬価が低く、提供できるようになり患者負担が減りました。

しかし、入院中の服用は医療従事者が患者の状態を常に把握しているので大丈夫ですが退院後に

自己管理で服用する際は脱水の心配があるため特に高齢者に注意が必要になってきますね。

さいごに

生きているうちに病気になることはあると思います。

その際にどのような対処をすれば良いのか不安に思いながら周りに相談をしたり

自身でインターネットで検索して調べる方は多いと思います。

その1つのお助けツールとしてこちらの記事を参考にして頂けたら嬉しいです。

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