とある病院薬剤師が低カリウム血症についてわかりやすくまとめてみた

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K(カリウム)について

K(カリウム)とは

カリウムは、細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ働きがあります。

また、神経の興奮性や筋肉の収縮に関わっており、体液のpHバランスを保つ役割も果たしています。

ナトリウムを身体の外に出しやすくする作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節するのに役立ちます。

人体に必要なミネラルの一種で、成人の体内には約120gから200gが含まれています。

遊離イオンやリン酸塩、たんぱく質との結合体としてそのほとんどが細胞内にありますが、

ごく一部は血液やリンパなどの体液(細胞外液)や骨にも含まれています。

一方、不足するとこれらの働きに影響することはもちろん、脱力感・食欲不振・筋無力症・精神障害・不整脈などの症状がみられることがあります。

なお、大量に摂取した場合でも体内の調節機構が働くので、通常、カリウムが過剰になることはまれであると言われています。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、生活習慣病の予防を目的とした成人1人1日当たりのカリウム摂取の目標量を、

男性3,000mg以上、女性2,600mg以上としています。

また、2012年に公表されたWHOのガイドラインでは、男女とも3,510mg/日を推奨しています。

e-ヘルスネット より引用

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html#:~:text=カリウムは、細胞内液,するのに役立ちます%E3%80%82
masa

カリウム保持性利尿薬はループ利尿薬でKが低下してしまった患者によく使用されます!!

低カリウム血症について

低カリウム血症とは

低カリウム血症とは、血液中のカリウム濃度が低下した状態を指します。

一般的には血液中のカリウム濃度が3.5mEq/L未満になった場合に、低カリウム血症と診断されます。

カリウムは体内に存在する電解質の1つで、細胞内の浸透圧を調整するはたらきや、神経の興奮や心筋のはたらきを助ける役割も果たしています。

また、腎臓の機能が正常な場合は、ナトリウムを体外に排出するのを促す作用を持つため、

塩分の取りすぎによる血圧の上昇を抑えるはたらきもあります。

そのため、カリウムが不足するとこれらのはたらきが正常に行われなくなり、大きく不足した場合には脱力感、

手足のだるさ、筋肉痛、こわばり、麻痺、不整脈、呼吸困難などの症状が出現することがあります。

原因

低カリウム血症は、食事からのカリウム摂取不足や低マグネシウム血症(血液中にマグネシウム濃度が低下した状態)によって起こる場合もありますが、

典型的には嘔吐や下痢、利尿薬などによって大量のカリウムが体外に排出されることで生じます

また、カリウムの細胞内移動によって起こることもあります。

摂取不足

カリウムは、野菜、豆類、魚、果物など多くの食材に含まれています。

偏った食事などで摂取量が不足すると低カリウム血症になる場合があります。

kikkomann HP より引用

https://www.kikkoman.co.jp/homecook/tsushin/tips0069/

排出量の増加

嘔吐や下痢が続くと消化管から大量のカリウムが失われます。

また、利尿薬(ループ利尿薬、チアジド系利尿薬)や漢方薬(甘草)、アミノグリコシド系抗菌薬、

グリチルリチン製剤などによって過量のカリウムが尿中に排出されることも原因の1つです。

このような薬を原因とする低カリウム血症は薬の服用から数週間後に起こることが多いですが、

数年以上経過してから発症することもあります。

また、クッシング症候群をはじめとした副腎疾患があると、ホルモンの影響で腎臓から大量のカリウムが排出され、

低カリウム血症を引き起こす場合があります。

細胞内移動

糖尿病の治療薬として知られるインスリンや、気管支拡張剤のサルブタモールなどの特定の薬は血液中のカリウムを細胞に移動させる作用があるため、

使用すると低カリウム血症になりやすくなります。

Medical note HP より引用

https://medicalnote.jp/diseases/低カリウム血症?utm_campaign=低カリウム血症&utm_medium=ydd&utm_source=yahoo
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低カリウム血症の治療について

低カリウム血症では不足したカリウムを補うことが治療の基本です。

通常、カリウムの補充はカリウム製剤の内服によって行い、カリウム濃度が著しく低い重症例などではカリウム製剤を点滴で補充します。

腎機能が正常である場合には、スピロノラクトンなどのカリウム保持性利尿薬(腎臓からのカリウムの排出を抑える利尿薬)

で治療を行うこともあります。

また、病気が原因となっている場合にはその病気に対する治療を行い、薬が原因となっている場合には原因薬を中止します。

薬を原因とする低カリウム血症では、軽度であれば原因薬を中止するだけで改善する場合もあります。

カリウム保持性利尿薬の詳しい記事はこちら

カリウム製剤一覧

当院で利用している主なカリウム製剤を掲載していきます。(カリウム製剤ではないがKが含まれ日頃注意している輸液等を含む)

<注射薬>

・ソルデム輸液3(K:20mEq/L)

・フィジオ輸液35・70(K:20mEq/L)

・ヴィーンF輸液(K:2mEq/L)

<内服薬>

グルコン酸K細粒(K:4mEq/g)

カリウムの投与量・速度上限

本剤は電解質の補正用製剤であるため、必ず希釈して使用すること(カリウムイオン濃度として40mEq/L以下に必ず希釈し、

十分に混和した後に投与すること)。ゆっくり静脈内に投与し、投与速度はカリウムイオンとして20mEq/hrを超えないこと。

カリウムイオンとしての投与量は1日100mEqを超えないこと。

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/470034_3319402G3028_1_05

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臨床現場で病院薬剤師として思うこと

そもそも死に直結する医薬品については注意しているのですがカリウム製剤はその1つに該当していきます。

病院薬剤師として勤務していて低カリウム血症、高カリウム血症の患者に触れることは多いです。

今までこのカリウム調整を誤ったことはないですがそうなる前に事前に察知することが医療従事者としては

必要なことなのではないかなと日々感じています。

また、入院していた際は対処できるのですが退院後にカリウムのコントロールが適切に出来ているのかについては

患者本人、薬局薬剤師にかかっているので注意しておいてほしいなという事が病院薬剤師として思う事ですね。

さいごに

生きているうちに病気になることはあると思います。

その際にどのような対処をすれば良いのか不安に思いながら周りに相談をしたり

自身でインターネットで検索して調べる方は多いと思います。

その1つのお助けツールとしてこちらの記事を参考にして頂けたら嬉しいです。

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